テクニカル分析③:Ⅱプライスアクションの精度を高めトレードを強化
なぜプライスアクションが重要なのか
プライスアクションについては以前投稿した“テクニカル分析③:Ⅰトレード戦略の要点とプライスアクション”でどのようにトレードで使用するかについて説明した。
今回は前回説明したプライスアクションを応用した使い方、またプライスアクションの精度を高める方法をお伝えする。
プライスアクションはエントリーの根拠になるためのものであるから、非常に重要で、エントリーの直前では咄嗟の判断が必要になってくる。そのため、形状を覚えるだけでは実践では使えない。
正直、インサイドバー(ハラミ足)やアウトサイドバー(ツツミ足)においても、細かくローソク足を分解していくと、レンジ相場を形成していたり、値動きの拡大が起こっているということが分かればよいため、厳密な形状に左右される必要はない。
皆さんが、”これはおおかた前のローソク足が後のローソク足を包んでいるな”と思えばそれはアウトサイドバー(ツツミ足)として認識すればよい。その時に大事なのは、なぜアウトサイドバーが相場を大きく動かす指標なのかということである。
これはプライスアクションに限らず、チャートパターンやプライスアクションセットアップやその他の法則/理論においても同様のことが言える。
なぜこの指標が相場を理解するうえで大事なのかということを意識して読んでほしい。
◇プライスアクションの応用
ii(iii)(連続する2つのインサイドバー)
iiとは、インサイドバーが二回連続で出現するパターンを指している。
インサイドバーは、前のバー(ローソク足)の範囲内に完全に収まるバーのことであり、日本ではハラミ足として知られている。このパターンが二回連続で出現する場合、「ii」と表現される。
インサイドバー(ハラミ足)は大きなローソク足の中に小さなローソク足が完全に包まれている状態であるが、これは大きなローソク足の中でレンジ相場が形成されているということである。
2回連続で出現する場合、2回目のインサイドバーは一回目と同じ大きさ、もしくはそれよりも若干小さいインサイドバーとなる可能性が高い。これは高値や安値を試す動きが起こるからである。
2回連続でインサイドバーが出現する場合、最初のローソク足の中でレンジ相場が継続的に形成され、かつ高値や安値を試し反発していることから、売買圧力が溜まりブレイクアウト後は上方または下方に推進しやすくなる。
これが相場の頂点や低で形成された場合は、トレンドの転換が起きやすい場所と認識される。それは売買が頻繁に行われ圧力が溜まっている状態だからである。
インサイドバーが三回連続で出現する場合をiiiと表現する。実際には三回でも四回でも五回でも何回出現してもよいのだが、要するにインサイドバーの中でレンジ相場が形成され、上下の価格帯のバリアに何度も反発している状態であるということである。
もちろん何度も反発するほうがバリア(抵抗線、支持線)は強くなるためブレイクアウト後の推進力も強くなる。
oo(連続する2つのアウトサイドバー)
ooとはアウトサイドバーが二回連続で出現するパターンを指している。
アウトサイドバーは前のローソク足が後ろのローソク足を完全に包んでいる状態であり、日本ではハラミ足として知られている。このパターンが二回連続で出現する場合にooと表現される。
小さいローソク足の後に大きなローソク足が出現するため、値動きが拡大しているということがわかる。相場では値動きが拡大することは良く起きることではないため、何かしらの圧力(損切り、利食い、新たな売買)が発生し値動きが拡大している。
その後大きなローソク足の後では値動きがいったん縮小するためここでもレンジ相場が形成されゆくゆくはブレイクアウトに至る。(詳しくはこちらをご参照ください。)
このアウトサイドバーが二回連続で出現するということは、一回目の拡大された値動き(大きなローソク足)の後、再度その大きなローソク足の価格を試すように同様のローソク足が形成されたことになる。
すでに拡大された値動きの範囲内で価格が動いているため、よりおおきなレンジ相場が形成され、当然参入者も増えてくるため売買の攻防が繰り広げられ、ゆくゆくはブレイクアウトしていく。(これは私のイメージであるが、インサイドバーよりもアウトサイドバーのほうが大きなレンジ相場になりやすく、ブレイクアウト後の推進力が強い。)
レンジ相場が形成されているため、頂点や底でooパターンが見られた場合は相場の転換になりやすい。(本来は相場の頂点や底は売買が多く行われるためooやiiといったチャートパターンに必然的になりやすいと言ったほうが適切かもしれない。)
また三回連続でアウトサイドバーが出現した場合はoooと表現される。これも正直何回アウトサイドバーが出現してもよいし、次のioiやoioでも説明するが、インサイドバーとアウトサイドバーが交互に何回出現してもよい。
圧力の溜まったレンジ相場認識し、ブレイクアウトの瞬間にエントリーをするというだけのことである。これらを覚えやすいようにooやiiといった名称が付いているということである。
ioi / oio
ioiはインサイドバー、アウトサイドバー、インサイドバーの順に出現するパターンを指し、oioはアウトサイドバー、インサイドバー、アウトサイドバーの順に出現するパターンを指している。
インサイドバーやアウトサイドバーの前後にいくつもローソク足が出現しても問題はない。上記でも解説したが、大きなレンジ相場が形成されていることや、値動きが急に拡大していることが認識できれば良い。
なぜレンジ相場になったのかや、値動きが拡大したのかは、誰も細かくはわからないものである。わかるとすれば経済指標が出たときくらいで、その時は値動きが拡大しやすい。
レンジ相場については需要と供給の関係を意識するとわかりやすい。
需要が増せば、ある価格帯からより上の価格帯での取引になる(価格を高くしても取引ができる)し、需要が少なくなり供給が増せば、より下の価格帯での取引になる(価格を安くしないと取引できない)。
レンジ相場はこの需要と供給が合っている状態であり、たったローソク足2本でも、より下位の時間軸ではレンジ相場からブレイクアウトし価格がその少し上か下の別の価格帯に移動していることを表している。
今見ている時間軸だけではなく、より上位や下位の時間軸がどのような形になっているのかを意識しながらチャートを観察すると、相場の理解が進むだろう。
Mmパターン
ダブルトップやトリプルトップについては皆さんは既によくご存じだろう。(わからない方はこちらをご参照ください。)
Mmは大きなダブルトップの後に小さなダブルトップが形成されているパターンを指している。
ダブルトップ(M)は相場の転換点となる上昇トレンドの高値で出現しやすい。ダブルトップ(M)を形成後、価格は中心のボトム部分でレジサポ転換をし、その後下降トレンドに転換する。
この時、下降トレンドに転換する前にレンジ相場が形成される。どんな相場においても上昇トレンドから下降トレンドに急激に変わることは珍しく、トレンドの転換の間にはレンジ相場が形成されると覚えておいてほしい。
このレンジ相場で小さいダブルトップ(m)が形成される場合がある。それがMmパターンである。
レンジはmの形じゃなくても問題はない。上下のバリアで圧力が溜まっていることを確認できれば良い。
ただ、Mやmの形は上下のバリアを試していることを示しており、その後価格が下方に抜けていくことを示唆するため非常にわかりやすい。(Mの字の形をよく見ると上下のバリアで反発しているように見えないだろうか。)
Mmパターンもチャート上でよく確認できる形である。できれば最初のM(大きいダブルトップ)の最後の安値でエントリーが出来ればよいが、それを見過ごした場合でもm(小さいダブルトップ)の安値でエントリーをしてほしい。
言い換えれば大きなレンジブロック(大きいダブルトップ)のブレイクアウト後のプルバック(小さいダブルトップ)でエントリーをするということである。これはアドバンスドレンジブレイクセットアップであるが、セットアップについては別の投稿で解説する。
下記の図は別のMmパターンである。こちらも相場でよく見ることが出来る。
Wwパターン
ダブルボトムやトリプルボトムについても皆さんよくご存じだろう。(わからない方はこちらをご参照ください。)
Wwは大きなダブルボトムの後に小さなダブルボトムが形成されているパターンを指している。
ダブルボトムは相場の転換点となる下降トレンドの安値で出現しやすい。ダブルボトム(W)を形成後、価格は中心のトップ部分でレジサポ転換をし、その後上昇トレンドに転換する。
この時、Mmパターンでも説明したが、上昇トレンドに転換する前にレンジ相場が形成される。このレンジ相場で小さいダブルトップ(w)が形成される場合がある。それがWwパターンである。
レンジはwの形じゃなくても問題はない。上下のバリアで圧力が溜まっていることを確認できれば良い。
ただ、Wやwの形は上下のバリアを試していることを示しており、その後価格が上方に抜けていくことを示唆するため非常にわかりやすい。(Wの字の形をよく見ると上下のバリアで反発しているように見えないだろうか。)
Wwパターンもチャート上でよく確認できる形である。できれば最初のW(大きいダブルボトム)の最後の高値でエントリーが出来ればよいが、それを見過ごした場合でもW(小さいダブルボトム)の高値でエントリーをしてほしい。
言い換えれば大きなレンジブロック(大きいダブルボトム)のブレイクアウト後のプルバック(小さいダブルボトム)でエントリーをするということである。これはアドバンスドレンジブレイクセットアップであるが、セットアップについては別の投稿で解説する。
下記の図は別のWwパターンである。こちらも相場でよく見ることが出来る。
◇プライスアクションの精度向上
同時線
同時線は始値と終値が同じ価格となったローソク足である。実際には、始値と終値が多少ずれていても問題はなく、周辺のローソク足よりも小さければ同時線であると認識してもよい。
同時線も反転や継続を示すときに現れやすい。図では同時線をより下位の時間軸で見てみたが、このように相場が動いていることになる。
同時線が複数連続で現れる場合には、同じ価格帯でレンジ相場が形成されているということであり、売買が均衡していることが読み取れる。
そのため、インサイドバーやアウトサイドバーなど他のプライスアクションの場合においても、シグナル足として同時線が出た場合はチャンスだと思ってよい。
※シグナル足とはエントリーを行う根拠となる足のこと。
また複数の同時線が出現した場合においても、レンジ相場のバリアが強化されている状態だと認識してほしい。
同時線は単体でプライスアクションが成立するものでは無いが、プライスアクションを強化するものとしてよく観察してほしい。
アップダウンツイン
アップダウンツインも同時線の一種である。同じ大きさの陽線と陰線が連続して出現した場合に、より上位の時間軸では同時線として表現される。
実際には陽線と陰線が70%ほどオーバーラップしていれば問題ないし、ほぼ同じ大きさの陽線と陰線が連続していなくてもよい。
同時線も始値と終値が同じ箇所を指しているだけのことであるため、例えば図のように5分足で6つの陽線と陰線を見たときに最初の始値とその後6本目の陰線の終値が同じになっていれば、30分足では同時線として表現される。
ダブルトップやダブルボトムもより上位の時間軸で見れば同時線になるだろう。
アップダウンツインもチャートのあらゆるところで見られるが、どこで見られるかが重要である。相場の頂点や底、トレンドの調整で見られる場合には、通常の同時線よりもさらに大きなレンジ相場として認識できるため、ブレイクアウト後の推進力は強くなる。
シグナル足の方向
反転足とは、例えば上昇トレンドからレンジ相場が形成され、最後にインサイドバーを抜けて下方にブレイクアウトする時に、インサイドバー自体かもしくはインサイドバーに包まれている足を反転足と呼び、それらがブレイクアウトする方向に合っているとよい。
上記の場合は下方にブレイクアウトするため、インサイドバーが陽線よりも陰線であるとブレイクアウトの確実性が増す。
ブレイクアウトの瞬間はダマシやティーズブレイクの危険性をはらむため、できるだけ可能性の高い上方を収集しながらトレードに臨む必要がある。
反転足がブレイクアウトの方向と合っているかどうかはプライスアクションの精度を高めるうえで重要な指標と言える。もちろん、反転足がブレイクアウトの方向とは異なる場合であってもブレイクアウトが成功することはよくある。
その場合、反転足の大きさなども影響しているかもしれない。
あくまでも精度を高める一つの方法として覚えておいてほしい。
ボウズ(坊主)
ボウズ(坊主)とはヒゲのないローソク足のことである。
トレンド相場が形成され、力強いトレンドである場合には、陽線または陰線のどちらかが同じ方向に向かっていくつも連続で形成される場合がある。(上昇トレンドの場合は陽線が連続する)
通常であればその途中で調整(価格調整、時間調整)が入るため、そこでエントリーできるタイミングがあるが、力強いトレンドの場合は調整が浅かったり、なかなか調整に入らないことが多い。
このような時に連続するローソク足をよく確認してほしい。トレンドが力強く出ているということは一方向に勢いが出ているということであり、ヒゲののつかないローソク足であるボウズが出現することがある。
ヒゲは安値や高値へ価格が二方向へ動くために形成されるが、ボウズ(坊主)の場合は一方向にのみ進むことにより形成される。
そのため、力強いトレンドが出ている場合は、ボウズ(坊主)が現れた段階でエントリーをすると流れに乗ることが出来る。
無理に流れに乗る必要もないと思えば、ボウズ(坊主)が現れていることにより、このトレンドが強いか弱いかを判断するだけでも十分である。