テクニカル分析④:Ⅰ成功する投資戦略!市場の主要テクニカル分析理論
ダウ理論
ダウ理論は、米国の証券アナリストであったチャールズ・ダウ氏が提唱したチャート分析理論である。マーケットの動きを理解し、予測するための一連の原則である。
元は株式市場の分析のために導き出された理論だが、FXでも通用するものとして多くのトレーダーに活用されている。
相場の流れを知る
ダウ理論は大きな相場の流れを知ることにより、トレード戦略が立てやすくなる。またダウ理論を活用することで、トレンド相場なのか、レンジ相場なのかを判断することができる。
トレンド相場か、レンジ相場かによって、選択すべき取引スタイルが大幅に変わるため、相場状況を適切に判断することが重要である。
トレンド相場であれば、トレンドに追随する”順張り”、レンジ相場では相場の流れに逆らって取引する”逆張り”がメインとなる。
トレンドの転換を知る
ダウ理論では、高値・安値の切り上げ・切り下げからトレンドの転換を把握することもできる。
トレンド相場への転換を理解することで、トレンド相場による大きな値幅を狙うことができ、レンジ相場への転換を理解することで、レンジ相場による小さな値幅を狙うことができる。
どちらの概念を理解することで様々な相場で対応することが可能となる。
ダウ理論の6つの法則
ダウ理論には6つの法則があるため、ここからはそれぞれについて学んでいくこととする。
- 価格はすべての事象を織り込む
- トレンドは3種類ある
- トレンドは3段階ある
- 平均は相互に確認される
- トレンドは出来高でも確認できる
- トレンドは明確な転換サインが出るまで続く
法則①:価格はすべての事象を織り込む
市場価格の形成(需要と供給)に影響を与えるあらゆる要因は、平均価格に反映される(織り込まれる)。
需給に影響を与えるファンダメンタルズ要因はもちろんのこと、地震や災害といった予測不可能な事象であっても、そのプライス動向は平均株価に織り込まれていく。そのため、今後の値動きを予測するには、あらゆる要因を織り込んだチャートを分析すれば良いという考え方である。
上昇トレンド継続中に為替に影響が出るニュースが出てきても、それは単なる押し目買いになるか更なる上昇を招くという程度となり、結果として、上昇トレンドという大勢に影響はない。
情報は既にチャートに反映されていると考え、チャートのみを分析すれば、現在のトレンドを把握でき、更には将来のチャート予想を立てる事ができると言える。
法則②:トレンドは3種類ある
- 長期トレンド(プライマリーサイクル)
- 上昇または下降の明確な方向性を表す。通常、1年~数年間継続する。
- 中期トレンド(セカンダリーサイクル)
- 長期トレンドと逆行する調整局面を表す。通常、3週間~3か月継続する。
- 短期トレンド(マイナーサイクル)
- 中期トレンドの短期的な調整局面を表す。通常、数時間~3週間継続する。
相場はより上位のトレンドに追随する形で形成されていくため、エントリーを行う時間軸に対して、より上位の時間軸を把握する必要がある。(マルチタイムフレーム分析)
※マルチタイムフレーム分析とは異なる時間枠のチャートを同時に分析することで、より総合的な市場の動向を理解し、取引の判断を行う手法
法則③:トレンドは3段階ある
- 第1段階(先行期)
- 市場の少数の参加者が新しいトレンドを認識して行動する。
- 先行型の投資家による買いが主で、株価は勢いづくもののあまり大きな動きはない。大口の投資家が底値で買い玉を集めていくために緩やかに価格が上昇する。
- 第2段階(追随期)
- より多くの投資家がトレンドに気づき、参加する。
- 緩やかなトレンドに反応した投資家が買いを入れることにより、市場全体がその動きに追随し大きく上昇する。
- 第3段階(利食い期)
- 投機家が参入し、価格が過度に上昇または下落する。
- 報道での扱いが大きくなり、出来高も増え、一般投資家や初心者の参入も増えていく。この段階が、最初に買い始めた先行型の投資家が利益確定するところで、トレンドの最終段階である。
先行期又は追随期でエントリーを行うのがベストである。利食い期は先行期の投資家の利食いにより大きく下落(上昇相場であれば)する可能性が高いため、エントリーを避けるほうがよい。
法則④:平均は相互に確認される
ダウ理論は初期段階において、工業株価平均と鉄道株価平均で構成されていた。
当時、両者はばらばらな動き方を示すものと認識されており、それらが同じ方向性を示さない限り、本格的な上昇トレンド/下降トレンドとは言えないと考えていた。
これを応用して、現代では複数の市場(あるいは銘柄)で相関性を確認する必要があるとされている。
法則⑤:トレンドは出来高でも確認できる
長期トレンドが上昇であれば、出来高は価格の上昇に伴って増加し、調整局面では減少する。
価格が上昇していても、出来高の上昇を伴わない場合は、トレンド転換の可能性が示唆される。
法則⑥:トレンドは明確な転換サインが出るまで続く
一度、上昇または下降トレンドが開始すると、その動きは継続する性質がある。
明白な転換シグナルが発生するまでトレンドは継続し、高値および安値の切り上げ/切り下げというトレンドの定義が崩れたときが転換シグナルになる。
ダウ理論を使った戦略
上位足と同じトレンド方向であることを確認し、トレンド転換の手前の安値(上昇トレンドの場合)でエントリーをする。
高値で利益確定をし、逆方向に動いた場合は損切りとする。
エリオット波動
エリオット波動は、1930年代にラルフ・ネルソン・エリオットによって提唱された市場の動きの理論で、主にテクニカル分析において使用される。
エリオットは、金融市場の価格変動がランダムではなく、特定のパターンを形成すると主張しまし、これらのパターンを「波動」と呼び、それが一定の法則に従って動くと考えた。
エリオット波動は、基本的に「推進波(インパルス波)」と「修正波(コレクティブ波)」の2つの波動で構成される。
- 推進波(インパルス波)
- 市場がトレンド方向に動く5つの波動で構成される。
- 第1波、3波、5波がトレンド方向に進み、第2波と第4波が逆方向に修正する。
- 修正波(コレクティブ波)
- 推進波の後に続く、トレンドに逆らう3つの波動で構成される。
- A波、B波、C波の3つの波動で構成される。
エリオット波動のさらなる詳細である、インパルス、ダイアゴナル、ジグザグ、フラット、トライアングルについては下記に記載していく。
インパルス
インパルス波(推進波)は、市場の主たるトレンド方向に動く5つの波動で構成される波動パターンである。
これは、上昇トレンドでも下降トレンドでも見られ、エリオット波動の基本的な要素の一つで、トレンド方向に明確な動きを示し、その後に修正波(コレクティブ波)が続くことが多い。
- 波動構成
- 5-3-5-3-5の5波動
- ルール
- 原則1:3波は1波、3波、5波の中で一番小さくなることはない。
- 原則2:2波は1波の始点を割り込まない
- 原則3:4波は1波と重ならない
- 変化形態
- なし
※オルタネーション(Alternation)とは、推進波(インパルス波)や修正波(コレクティブ波)の構造が状況に応じて異なる形を取る傾向を示している。
- 1波 オルタネーション
- 1波はダイアゴナルになることもある
- 2波 オルタネーション
- 2波はジグザグが多く出現する傾向
- 2波は、1波の61.8%が目安
- 2波は1波の2の終点が目安
- 2波はトライアングルになることはない
- 2波と4波は違う波形になりやすい
- 3波 オルタネーション
- 3波は1波の161.8%が目安
- 3波はインパルスのみ
- 4波オルタネーション
- 4波は比較的横ばいの修正になる傾向がある
- 4波の終点は3波の4の終点が目安
- 4波は3波の38.2%が目安
- 5波 オルタネーション
- 5波は1波の100% or 61.8%が目安
- 5波はダイアゴナルになることもある
- 5波は3波より出来高が少ない
- 5波の延長は1波始点から3波終点までの大きさの161.8%が目安
- 5波は3波が延長した場合、1波と同程度の大きさになりやすく、3波がかなり大きくなった場合には5波はフェイラーすることもある
- 修正波 オルタネーション
- 修正波のC波終点は推進波の5波の2まで修正される傾向がある
- 修正波のA波終点が推進波の5波の2まで修正され、C波終点が推進波の4波終点まで修正される傾向がある
ダイアゴナル
ダイアゴナルは、推進波(インパルス波)の一種だが、標準的なインパルス波とは異なる特徴を持っている。
ダイアゴナルは、価格が一定のトレンドに沿って動くときに、トレンドラインが収束または拡散する形をとる波動パターンである。ダイアゴナルは、リーディング・ダイアゴナルとエンディング・ダイアゴナルの2種類がある。
- リーディング・ダイアゴナル
- 通常、トレンドの始まりに見られるパターンで、第1波またはA波に出現する。
- 通常のインパルス波のように1-2-3-4-5の構造を持ちつが、1波と4波が重なることが許される。
- トレンドラインが収束する(ウェッジ形状を形成する)ことが多い。
- エンディング・ダイアゴナル
- トレンドの終わりに見られるパターンで、第5波またはC波に出現する。
- 1-2-3-4-5の構造を持ちますが、1波と4波が重なることが許される。
- トレンドラインが収束する(ウェッジ形状を形成する)ことが多い。
- 波動構成
- 3-3-3-3-3 or 5-3-5-3-5の5波動
- ルール
- なし
- 変化形態
- エクスパンディングダイアゴナル(拡大型ダイアゴナル)
トレンドの初めにダイアゴナルが形成される場合はリーディングダイアゴナルとなり、トレンドの終わりにダイアゴナルが形成される場合はエンディングダイアゴナルとなるが、さらにウェッジの形と波動構成により4種類に分類することができる。
ダイアゴナルは5つのサブウェーブで構成され、通常のインパルス波とは異なり、各サブウェーブがよりジグザグまたは複雑な形になることが多い。
ダイアゴナルでは、価格の高値と安値を結んだトレンドラインが収束(または時には拡散)する形状を取る。これは、価格が徐々にトレンドの終了に向かっていることを示している。
ダイアゴナルでは、1波と4波が重なることが許されるため、よりフレキシブルな波動パターンとなる。
※オルタネーション(Alternation)とは、推進波(インパルス波)や修正波(コレクティブ波)の構造が状況に応じて異なる形を取る傾向がを示している。
- 4波 オルタネーション
- 4波は1波に割り込む
- 2波と4波はジグザグになりやすい
- 5波 オルタネーション
- 5波はスローオーバーすることがよくある
- 5波が3波の終点を超えられずフェイラーになることもある
- 5波の終点は1,3波を結んだ線上になる傾向がある
- その他 オルタネーション
- 波は1波>3波>5波と徐々に小さくなる
- 1波やA波などの最初の波(リーディングダイアゴナル)か、5波やC波などの最後の波(エンディングダイアゴナル)として出現
- リーディングダイアゴナル(5-3-5-3-5)、エンディングダイアゴナル(3-3-3-3-3)※例外もある
- エンディングダイアゴナルが完成したら、その後はとりあえずダイアゴナルの始点まで戻ることが多い
ジグザグ
ジグザグは、修正波(コレクティブ波)の一種で、トレンドに逆らう調整の形を示すパターンである。
ジグザグは、3つの波動で構成され、「5-3-5」の波動構造を持つのが特徴。
これは、A波とC波が5つのサブウェーブに分割され、B波が3つのサブウェーブに分割されることを意味する。
- 波動構成
- 5-3-5の3波動
- ルール
- なし
- 変化形態
- ダブルジグザグ、トリプルジグザグ
A波とC波は5つのサブウェーブに分割され、B波は3つのサブウェーブに分割される。これにより、「5-3-5」の波動構造が形成される。
ジグザグは比較的急な修正を示すことが多く、トレンド方向に対する明確な逆行を示す。時には単一のジグザグパターンが連続して現れることがあり、これを「ダブルジグザグ」や「トリプルジグザグ」と呼び、これらはより複雑な修正パターンを形成する。
※オルタネーション(Alternation)とは、推進波(インパルス波)や修正波(コレクティブ波)の構造が状況に応じて異なる形を取る傾向がを示している。
- B波 オルタネーション
- B波はA波の始点を回復できない
- B波はA波の61.8%か50%が目安
- C波 オルタネーション
- C波はA波の終点を割り込む
- C波はA波の161.8%か61.8%
- C波はA波の終点を越えられずフェイラーになることもある
フラット
フラットは、修正波(コレクティブ波)の一種であり、価格がトレンドに逆らって調整する際に見られるパターンとなる。
A波、B波、C波の3つの波動で構成され、「3-3-5」の波動構造を持つのが特徴。これは、A波とB波が3つのサブウェーブに分割され、C波が5つのサブウェーブに分割されることを意味している。
- 波動構成
- 3-3-5の3波動
- ルール
- なし
- 変化形態
- ノーマルフラット
- B波はA波の始点付近まで戻りますが、それを超えない。
- C波はA波の終点をわずかに超える。
- エクスパンディングフラット
(拡大型フラット)- B波がA波の始点を大きく超えます。
- C波はA波の終点を大きく超え、かなりの距離を進む。
- ランニングフラット
- B波がA波の始点を超え、トレンド方向に少し進む。
- C波はA波の終点を超えず、B波の終点に達するか、わずかに手前で終わります。
- C波巨大化フラット
- ノーマルフラット
ノーマルフラット(Regular Flat)
- B波はA波の始点付近まで戻るが、それを超えない。
- C波はA波の終点をわずかに超える。
※オルタネーション(Alternation)とは、推進波(インパルス波)や修正波(コレクティブ波)の構造が状況に応じて異なる形を取る傾向がを示している。
- B波 オルタネーション
- A波がジグザグなら、B波はフラット / A波がフラットなら、B波はジグザグになりやすい
- B波はA波の始点近くまで回復する
- B波はA波の123.6%か138.2%が目安 (エクスパンディングフラット)
- C波 オルタネーション
- C波はA波の終点を少し割り込む
- C波はA波の161.8%や261.8%が目安(エクスパンディングフラット)
- その他 オルタネーション
- 最後のアクション波の一つ前の波として出現しやすい
トライアングル
トライアングルは、修正波(コレクティブ波)の一種であり、価格が一定の範囲内で収束していくパターンを示す。
通常、推進波の前の修正局面や調整局面で見られ、トレンドの継続を示すことが多い。トライアングルは5つの波動で構成され、A-B-C-D-Eの形をとる。
- 波動構成
- 3-3-3-3-3の5波動
- ルール
- なし
- 変化形態
- エクスパンディングトライアングル(拡大型トライアングル)
- トライアングルの両サイドが拡大するパターンで、価格が広範囲に動く形になります。
- ランニングトライアングル
- 上昇型トライアングル(上値ラインが水平)
- 上昇するトレンドラインと水平な抵抗線によって形成されるパターンで、上向きのバイアスを持ちます。
- 下降型トライアングル(下値ラインが水平)
- 下降するトレンドラインと水平な支持線によって形成されるパターンで、下向きのバイアスを持ちます。
- エクスパンディングトライアングル(拡大型トライアングル)
※オルタネーション(Alternation)とは、推進波(インパルス波)や修正波(コレクティブ波)の構造が状況に応じて異なる形を取る傾向がを示している。
- C波オルタネーション
- C波はしばしば複雑化、長期化する傾向があり、複合修正波になることもある
- C波はA波の61.8%
- D波 オルタネーション
- D波はB波の61.8%
- E波 オルタネーション
- E波はC波の61.8%
- E波はしばしばスローオーバーする
- E波はC波終点を超えない
- その他オルタネーション
- A-E波のいずれかがトライアングルになる可能性もある
- いずれの波もジグザグになりやすい
- トライアングル形成後はトライアングル形成前と同じ方向に動く
- トライアングル形成後の次の1波は、トライアングルの一番大きな副次波と同程度になりやすい
- 通常は直前の高値、安値(オーソドックス)を超えないが、超える時もある(ランニングトライアングル)
- インパルスやダイアゴナルの4波に出現しやすい
- トライアングル後のインパルス5波はスラスト(短期的で素早い動き)になることもしばしばある
- 4波やB波として出現することが多い
- 2波として出現することはほとんどない
複合修正波
複合修正波は、単純な修正波(例えばジグザグやフラット)とは異なり、2つ以上の修正パターンが連続して現れる構造を指す。複合修正波は、相場の調整局面でよく見られ、より複雑で多様な価格動きを示す。
- 波動構成
- W-X-Y(ダブルスリー)
- W-X-Y-X-Z(トリプルスリー)
- ルール
- なし
- 変化形態
- ダブルジグザグ
- トリプルジグザグ
- ダブルスリー
- 2つの修正パターンを組み合わせたもので、構造はW-X-Yと表される。
- トリプルスリー
- 3つの修正パターンを組み合わせたもので、構造はW-X-Y-X-Zと表される。
※オルタネーション(Alternation)とは、推進波(インパルス波)や修正波(コレクティブ波)の構造が状況に応じて異なる形を取る傾向がを示している。
- X波 オルタネーション
- X波はジグザグになることが多い
- X波はトライアングルにならない
- W波 オルタネーション
- W波とY波は別の波形になることが多い
- トライアングルはW波には出現しない
- その他 オルタネーション
- ジグザグはW,Y,Z波のいずれかひとつだけ
- トライアングルは最後(Y or Z)にしか出ない
- フラットはどの波にも出現する
- ダブルスリーやトリプルスリーでは、Y波終点がW波終点を大きく超えない
- ダブルジグザグやトリプルジグザグはY波終点がW波終点を大きく超える
グランビルの法則
グランビルの法則とは、米国のアナリストである「ジョゼフ・E・グランビル」氏が考案した理論で、株式市場や他の金融市場における投資判断のためのルールセットで、移動平均線を用いて売買シグナルを判断する方法である。
買いシグナル
- A.移動平均線が下落後、横ばい、または上向きに転じたときに価格が移動平均線を下から上に突き抜けた場合
- B.移動平均線が上向きの時に、一旦価格は下落し移動平均線を下回るも再度上昇し移動平均線を下から上に突き抜けた場合
- C.移動平均線が上向きの時に、一旦価格は移動平均線の手前まで下落するも移動平均線を下抜けることなく再度価格が上昇する場合
- D.価格が移動平均線の下に大きく乖離した場合
売りシグナル
- ①.移動平均線が上昇後、横ばい、または下向きに転じたときに価格が移動平均線を上から下に抜けた場合
- ②.移動平均線が下向きの時に、一旦価格が大きく下落し再度上昇し移動平均線を上抜けした場合
- ③.移動平均線が下向きの時に、一旦価格が上昇するも移動平均線の手前で止まり再度下落した場合
- ④.価格が移動平均線の上に大きく乖離した場合
※グランビルの法則で利用する移動平均線の期間や時間足は、一般的に「200日移動平均線」と「日足」が基本である。
グランビルの法則は、価格と移動平均線の関係に基づいており、比較的シンプルで理解しやすい。また、株式市場、為替市場、商品市場など、さまざまな市場に適用可能である。
短所としては、移動平均線自体が遅行指標であるため、シグナルが遅れる可能性がある。これにより、タイムリーなエントリーやエグジットが難しくなることがある。
また、移動平均線に基づいているため、市場のファンダメンタルズやニュースなどの他の要因を無視することがある。
グランビルの法則は、価格と移動平均線の関係を利用して売買シグナルを生成するシンプルかつ効果的な手法だが、他のテクニカル指標やリスク管理と併用することで、その効果を最大限に引き出すことができる。
例えば、RSI、MACD、ボリンジャーバンドなどと併用することで、シグナルの信頼性を高めることができる。
ボブ・ホルマンの法則
ボブ・ホルマンの法則は、70ティックチャートを利用したボブ・ホルマンが愛用した法則である。
移動平均線と価格の関係性から売買シグナルを判断し、相場を分析することができる。
ティックチャートは、取引活動のリアルタイムを詳細に教えてくれる。特に市場のボラティリティが高い時期には、価格変動を迅速に捉えることができる。一定の取引数ごとに新しいバーが形成されるため、時間に基づくノイズが減少し、純粋な取引活動に基づく動きが強調される。
- ダブル同時線ブレイク(DB)
- ファースト・ブレイク(FB)
- セカンド・ブレイク(SB)
- ブロック・ブレイク(BB)
- レンジ・ブレイク(RB)
- インサイド・レンジ・ブレイク(IRB)
- アドバンスト・レンジ・ブレイク(ARB)
70ティックチャートとは
Tickチャートは時間の経過と共に移動していく通常のローソク足と異なり、設定した一定のティック(価格の更新/約定)があった場合に左へスライドするチャートである。
一定のティック数で更新するチャートであるため、価格の更新頻度の少ない場面ではローソク足が次の足に移動するまでに時間がかかり、価格の更新頻度の高い場面では次の足に移動するまでの時間は短くなります。
Tickチャートは価格更新頻度に関わらず、均等な時間で移動する通常のローソク足と比べ、価格の方向性が掴み易いという特徴があります。
ダブル同時線ブレイク(DB)
同じ価格で開始および終了するローソク足である 2つの連続したローソク足(同時線)が特徴で、価格が同時線の高値または安値を超えたときにブレイクが発生し、反転の可能性を示す。
- 3pips以下の短いローソク足であれば同時線とみなす
- トレンド側の足のライン同時線が2pips以上離れたら見送りする
- ローソク足がラインをしっかりとブレイクしたのを確認してからエントリーする
ファースト・ブレイク(FB)
ファーストブレイクは、価格がEMAを初めてタッチする際のセットアップである。
※実際にはEMAにタッチしなくても問題はない。
明らかに上昇または下降トレンドが発生し、その後価格調整が発生し、EMAに最初にタッチした段階でエントリーをすることで、トレンドの開始を捉えることができる。
- 明確なトレンドが発生している場合
- わかりやすい根戻し後の反転
- 最初の根戻し以外にはエントリーしない
セカンド・ブレイク(SB)
セカンドブレイクは、価格が一度EMAにタッチした後、再度同じレベルを突破(下降トレンドの場合は2回目の高値更新)する際のセットアップである。
この戦略は、ファーストブレイク後のプルバックを確認してエントリーする。
- ブレイクが2回連続したところを狙う
- ファーストブレイクとセカンドブレイクの間の足は1-4本程度
ブロック・ブレイク(BB)
ブロックブレイクは、価格が小さいレンジで動いた後、その範囲をブレイクする際のトセットアップである。この戦略は、ブロックの上限または下限をブレイクした後の動きを利用しようとするものである。
レンジ・ブレイク(RB)
レンジブレイクは、ブロックブレイクよりも長期間のレンジで動いた後、その範囲からブレイクする際のセットアップである。価格がレンジからブレイクする方向にエントリーすることで、新たなトレンドの開始を捉えることを目指す。
- ボックスレンジがブレイクしたところを狙う
- レジスタンス側にローソク足が集中している
- 高値や安値が徐々に切りあがるか、切り下がっている
インサイド・レンジ・ブレイク(IRB)
インサイドレンジブレイクは、レンジブレイクの範囲内で、さらに小さなレンジブロックが形成され、その範囲内での小さなブレイクアウトを利用する戦略である。これにより、早期にトレンドの変化を捉えることができることが期待される。
アドバンスト・レンジ・ブレイク(ARB)
アドバンストレンジブレイクは、レンジブレイクのように長期的なレンジが形成されブレイクアウトが発生した後、再度価格が戻り直前のクラスターによってできたサポートラインに近い位置でのエントリーを狙う戦略である。これにより、レンジブレイクの初動を捉え、利益を最大化することを目指す。
ワイコフ理論
ワイコフ理論は、1888年にアメリカのリチャード・ワイコフによって考案されたトレーディング手法であり、株式市場や他の金融市場での価格変動の分析に使用される。
価格と取引量の相互作用に焦点を当てており、価格の動きやトレンドの形成に基づいて取引を行うためのフレームワークである。
ワイコフ理論の3つの法則
- 需要と供給の法則
- 需要が供給を上回ればFXのチャートは上昇し、反対に供給が需要を上回ればチャートは下降する。また、需要と供給が同じだけあるときはチャートは上昇も下降もせずに、横ばいに移動する。
- 原因と結果の法則
- ある結果に対しては、必ず何かしらの原因がある。相場は需要と供給によって動くが、需要と供給はランダムで起こることはない。
必ず何かしらの原因があり、それに応じて需要と供給が発生し相場が動く。
- ある結果に対しては、必ず何かしらの原因がある。相場は需要と供給によって動くが、需要と供給はランダムで起こることはない。
- 価格と結果の法則
- FXの相場はローソク足による値幅と、その期間の取引量で表現することができる。また、この2つの関係性を見ることで今後の相場の動きを予測することができる。
- FXのローソク足と取引量に相関性がある時はトレンドが継続し、相関性がない時はトレンド転換が起こる。
ワイコフ理論の4つの相場サイクル
- Accumulation:買い溜め相場
- 買いだめ相場は、チャートが大きく動く前に発生する。需要と供給が同じ程度あるため、値幅の狭いレンジ相場である。
ワイコフ理論における買いだめ相場では、大口投資家が買い注文を仕込んでおり、上昇トレンドの兆しとなる。
- 買いだめ相場は、チャートが大きく動く前に発生する。需要と供給が同じ程度あるため、値幅の狭いレンジ相場である。
- Mark Up:値上げ相場
- ワイコフ理論の値上げ相場では、レンジ相場が終了し一気にチャートが上昇する。
需要が供給を大きく上回ることで、次の値下げ相場が発生するまで価格が上昇し続ける。
- ワイコフ理論の値上げ相場では、レンジ相場が終了し一気にチャートが上昇する。
- Distribution:売り捌き相場
- ワイコフ理論の売り捌き相場は、値上げ相場によって上昇したチャートの天井である。値上げ相場で、大量に買われ続けたポジションが徐々に決済される。
買いだめ相場と同様に売り捌き相場でも、大口投資家がを売り注文を仕込んでおり、下降トレンドの兆しとなる。
- ワイコフ理論の売り捌き相場は、値上げ相場によって上昇したチャートの天井である。値上げ相場で、大量に買われ続けたポジションが徐々に決済される。
- Mark Down:値下げ相場
- ワイコフ理論の値下げ相場では、供給が需要を上回ることで、チャートが大きく下降する相場である。
- チャートが降下し切ってしまうと、再び買いだめ相場が発生する。このようにして、FXの相場において、ワイコフ理論のチャートパターンは繰り返される。
ワイコフ理論によるエントリーポイント
- SPRING
- 積極的なトレーダーが買い注文を入れる。失敗するリスクの高い分、成功した場合の利益は大きい。
- BREAKOUT
- レンジ相場を上に抜けたタイミングでエントリーをする。
- THROWBACK
- レンジ相場を上に抜けたチャートが、再び戻ってきて反発したタイミングでエントリーをする。
- RE-ACCUMULATION
- 再び発生したレンジ相場を上に抜けたタイミング、もしくは一度抜けた後に戻ってきて反発したタイミングでエントリーをする。
- BREAKOUT
- レンジ相場を上に抜けて上昇トレンドにあるチャートが、水平線まで戻ってきたタイミングなどの押し目でエントリーをする。
- SPRING
- 積極的なトレーダーが売り注文を入れる。失敗するリスクの高い分、成功した場合の利益は大きい。
- BREAKOUT
- レンジ相場を下に抜けたタイミングでエントリーをする。
- THROWBACK
- レンジ相場を下に抜けたチャートが、再び戻ってきて反発したタイミングでエントリーをする。
- RE-DISTRIBUTION
- 再び発生したレンジ相場を下に抜けたタイミング、もしくは一度抜けた後に戻ってきて反発したタイミングでエントリーをする。
- BREAKOUT
- レンジ相場を下に抜けて下降トレンドにあるチャートが、水平線まで戻ってきたタイミングなどの戻り目でエントリーをする。
ワイコフ理論は、主に株式市場やFX市場での取引に使用されるが、他の金融市場でも同様の原則が適用される場合がある。
トレーダーは、価格と取引量の相互作用を注意深く観察し、市場のフィールやステージを理解することで、より効果的なトレードを行うことができる。
ワイコフ理論は、その詳細な概念と実践的なアプローチから、トレーディングコミュニティで広く知られ、多くのトレーダーに影響を与えている。